みんなで作る粘土猫

カーナビ (Caw Navi)

    
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はじめまして、ようこそ当サイトへ。

2004年のある日、今は亡き高校の後輩が、「これをオンラインショップで売りませんか」と、高さ10cmほどの小さな濃紅(こいくれない)色の招き猫を私のデスクにそっと置きました。東京の本郷にある九谷焼陶器店で見て、魅せられ購入してきたというのです。

あれから15年が経過したある日、インターネット上で探しものをしているとき、猫作家25人が作品を出品する「来る福・招き猫祭り」が開催されるというニュースに遭遇しました。私は即座に、新たな出会いを求めて、2019年9月28日・29日の両日、伊勢神宮に隣接する「おかげ横丁」を訪れることにしました。

当日は大盛況の中、会場をめぐり歩いて多彩な猫作品を楽しむことができました。その中で気になった作家の一人が高橋理佐さんでした。私が見つけたその作品は実物ではなくポスカードの写真だったのですが、他の猫作品たちとはかなり趣が違っていました。その印象について私は帰郷後に書いたブログ記事の中で次のように記しています。

… 高橋理佐氏の「気だるい表情」の粘土猫…

それは、招き猫ではなく、よく見られる写実的な猫作品でもない独特の粘土猫作品でした。しかし、私はこのときまだ高橋作品の真の姿を知りませんでした。

帰郷後、印象に残った8人の作家さん宛に、私の会社のオンラインショップで日本と海外に向けて作品を販売させていただけないかと打診しました。全員から色よい返事がくるものと能天気に反応を待っていたのですが、現実は厳しく、返答をいただけたのはただ一人だけ。それが高橋さんでした。

それからほどなくして、東京・千駄木のギャラリー猫町で開催されている彼女の個展を訪れました。そこに展示されていた多彩な作品を直に鑑賞したとき、「あ、そうなんだ」と驚きました。それらの作品は単なる粘土猫ではなく、「ダジャレや愉快な言葉をタイトルとし、それを体現する作品」だったのです。

猫町ギャラリーの入り口

そのとき私は、なにやら大いなる未来を感じたのです。どういうことか。私は20代後半に技術翻訳の世界に飛び込んで以来、長年にわたりこの仕事を生業にしてきました。そのせいなのか、いま自分の目の前にいる粘土猫たちを世界中の人々に知ってもらい、ひょっとして物好きな人が現れ、自国の言語で独特のダジャレや愉快な言葉をタイトルに付けた作品を作ってもらえたら面白いな、と思ったのでした。

ただしこれにはひとつ難問があります。日本語のダジャレを他言語話者にも日本人と同じように笑ってもらうことはほぼ不可能と思われる点です。実際、作品のタイトルや解説を日本語から英語に翻訳してくれているKB氏は、ダジャレのタイトルはどれも「100%翻訳するのは無理」と叫び、七転八倒の思いをしながら、なんとか意訳・翻案してくれています。

カーナビ (Caw Navi)
* 日本語タイトルと英語タイトルの発音と意味が奇跡的に同期したケース

このことは、どの国の言語のダジャレについても同じことが言えるでしょう。それでも私たちは、多くの国の物好きな人が作ってくれる作品のタイトルを共通言語としての英語に翻訳して公開し、多くの人々と一緒に笑えるようにしたい。(もちろん、日本の皆さんの作品にも大いに期待しています。)

いまこの地球上では「人災」が蔓延し、その拡大はとどまるところを知りません。ロシアによるウクライナ侵攻、シリア内戦、イスラエル=パレスチナ問題、アフリカのあちこちで繰り返される虐殺…。自然災害もまた人間の行いに起因するものが多い。結局のところ、人間は母なる地球を痛めつけ、自らの寿命を縮めているかに見えます。

さまざまな災いの渦中にある無辜の人々のために、高橋さんの、そしてこれからきっと現れてくれるであろう「物好きな」人々が作ってくれるダジャレ粘土猫たちがほんのわずかでも慰めになってくれたらと願うばかりです。

日向ぼっこ

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